2010年4月8日号の総合学術雑誌Natureに、フランスの微生物学研究チームが「日本人が生のりを消化できる理由を発見した」という研究結果を発表しました。生のりに含まれるポルフィラン多糖という成分を分解する酵素を作り出すバクテリアが、日本人の腸内にだけ存在することがわかったそうです。(出典:Nature 2010年4月8日号)
それは、日本人が昔から「のり」を食べ続けてきたからです。海に囲まれた島国に住む日本人が、のりなどの海藻類を食べていた歴史は、8世紀ごろにまでさかのぼります。
大宝元年(701年)に制定された日本最古の成文宝典「大宝律令」には、29種類の海産物が租税として納められていたことが書かれています。 全日本海苔漁連では、この史実に基づいて「大宝律令」の施行日(西暦702年2月6日)にちなんで、毎年2月6日を「海苔の日」と定めています。
千数百年にわたり、「のり」を食べ続けたことで、いつしか日本人は生のりを分解できるバクテリアを体内に取り込んで、腸内バクテリアとして持ち続けていることになったのです。
海に囲まれた環境で手に入りやすかったとしても、おいしくてからだに良い食品でなければ食べ続けられない!!
「のり」のおいしさと栄養について、さらに探っていきましょう。
のりにはグルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸という3つの旨み成分が含まれています。この旨味成分は、組み合わせることで旨みが飛躍的に強く感じられることが科学的にも証明されているんです。これを「旨みの相乗効果」と呼びます。
主に昆布などの植物性食品に含まれています。実は赤ちゃんに飲ませる母乳にはグルタミン酸が非常に多く含まれていて、私たちは生まれてすぐにそのおいしさと出会っているんですね。
主にかつお節などの動物性食品に含まれています。ふつうは植物には含まれていない旨み成分ですが、「のり」には酵素の働きでイノシン酸を作り出す力があるんです。
主に干し椎茸などに含まれています。
干して乾燥させることで、旨み成分がぐんと引き出されます。
日本料理の基本である「出汁」は、この3大旨み成分をうまく使っているんですね~。
そして…!3大旨み成分を含む天然食品は、「のり」以外にはないと言われているんです。だから「のり」は日本の伝統的な味として、日本人になじみやすいおいしさなのでしょう。(出典:大房剛「のり」チクマ秀版社1992年)
「のり」の香りとひとことで言っても、その成分はとても複雑で、一般的な磯の香りをはじめ、さまざまな香りが相まって、あの独特の豊饒な香りを作り出しています。香りも味のうち、と言われますが、まさに「のり」の香りが旨みをさらに引き立てる大切な役割をしているんですね。
「のり」に含まれる食物繊維、ミネラル、ビタミンなどの栄養素が、古来より人々にとって元気の源になってきたと考えられます。「大宝律令」には税金の代わりとして「のり」が認められていた記述があるほど、「のり」は日本人に欠かせない健康に役立つ貴重な食品だったことがうかがえます。
古来から長きにわたって「のり」を食べてきた日本人にとって、いつでも手軽に食べられる「のり佃煮」は、まさに食卓に欠かせない保存食。
「のり佃煮」は私たちの遠い記憶を呼び起こす、日本人のDNAに刻まれた特別な食べ物なんですね。
ごはんのお供としてそのまま食べておいしい「のり佃煮」ですが、
視点を変えた新しいアレンジレシピをご紹介します!
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